フランスという国のオモロイところは、ド田舎の国道沿いの、長距離トラック運転手が充満しているよーな店のランチ定食でも、ちゃんとフランス料理の基本文法のようなものが守られることで、魚料理は予算の都合で端折られても、食前酒はオプションとしてあり、前菜は断固として供され、たいてい棚にずらりと並んだディジョンマスタードで食べるステーキがあり、大皿に盛られて自分で選ぶ盛大な量のチーズがあらわれ、デザートもまた断固としてテーブルにあらわれ、ディジェスティフをちびちびやって、珈琲にたどりつく。
「様式」というものを未だに骨身にからめて偏愛しているのです。
これがバルセロナになるとチョーええかげんもいいところで、グラシアの裏通りには、わしの大好きな料理屋がたくさんあるが、比較的最近できた高級なレストランは、フレンチっぽい味付けがケーハクになっていなくて、わしは好きである。
大陸欧州というところは外見で社会的地位が判断しやすいというか社会的地位が判断しやすいように外見を繕うということになっているというかなので、一見いかにも大学教授ふうの、というのはつまり大学教授に決まっているが、歴史の本をうんとこさ抱えた、いかにも上流階級のジョーヒンでかっこええおっちゃんがやってきてひとりでテーブルにつく。
ウエイターがテーブルにメニューを置きに来ると
「とりあえず、ビール」という(^^;)
まるで新橋の一杯飲み屋に来て、おしぼりの袋をパンッと割る日本のサラリーマンみたいです。
それから、チョウチンアンコウのステーキやなんかを頼んで、テンプラニーニョを飲みながら食べておる。
バルセロナ人は、好きなもの飲めばいーじゃん、というフランス人とはまるで反対の立場であって、これはとーぜんながらマジなシェフの神経を逆なでする態度なので、この頃はメニューの料理のあとに「これ以外のワインは出せません」という風情で、ワインが「指定」してあるレストランもたくさんあります(^^)
よっぽど、頭にきているものだと思われる。
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